Creating the Next Generation of Cancer Genome Medicine.
がんゲノム検査
◆がんゲノム医療とがん遺伝子パネル検査について
がんゲノム医療は、がん化を引き起こしている遺伝子変化を解析し、診断や治療を行う医療です。同じ臓器の癌でも、その遺伝子異常は様々であることが明らかとなり、従来の「臓器別」のがん治療から、「遺伝子異常別」のがん治療へシフト・普及しつつあります。
次世代型シークエンサーという遺伝子解析機器の登場により、迅速かつ正確な遺伝子解析が可能となりました。その技術を用いた、がん遺伝子パネル検査が登場し、本邦では2019年6月に保険収載となりました。
現在、保険診療でがんゲノム検査を受けることのできる施設は、厚生労働省の指定を受けた全国約250カ所の「がんゲノム医療中核拠点・拠点・連携病院」に限られています。当院は「がんゲノム医療連携病院」として、東京大学医学部附属病院と連携し、保険診療でのがんゲノムプロファイリング検査を実施しています。
本診療科では、がんゲノムプロファイリング検査等の実施により、遺伝子解析に基づいた治療薬の探索・提案を行います。難解な用語が多く、専門性の高い領域ですが、一般の方々にも御理解頂けるような丁寧な診療を心掛けています。
◆がんゲノムに基づいた次世代のがん治療を目指して
近年、がん化に関わる異常な分子を標的とした薬物(分子標的薬)の登場により、大きく治療成績が向上してきました。これまで、がんの発生臓器ごとに開発・検討がなされてきましたが、近年のゲノム解析検査の普及により、遺伝子の異常に応じた臓器横断的な治験や臨床試験が実施され、加速度的に治療法が進歩しています。実際、遺伝子異常に応じた治療が実現されることで、予後の改善が報告されていますが、推奨される薬剤が未だ存在しないケースもあり、今後の一層の研究・開発が待たれる現状にあります。
適応となる薬剤が見つかる頻度が低い等、まだまだ課題が残る領域ですが、がんゲノム検査の結果を最大限に活かし、患者さんに寄り添った医療の実現に努めています。
◆がん遺伝子パネル検査について
●対象となる疾患(保険適用)
1. 固形癌に対する標準的な化学療法が終了、もしくは終了が見込まれる方
(固形癌:白血病やリンパ腫などの血液がん以外の、臓器や組織などに塊を作る癌の総称)
2. 標準的な化学療法が確立されていない希少癌の方
3. 癌の発生臓器が分からない原発不明癌の方
4. 全身状態が不良でなく、本検査の結果判明時において化学療法の実施を見込める方
●取り扱っているがん遺伝子パネル検査(全て保険適用)
① OncoGuide™ NCCオンコパネル システム
腫瘍組織検体と血液検体の両方を用いて検査を行います。
② FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル
腫瘍組織検体を用いて検査を行います。
③GenMine TOPがんゲノムプロファイリングシステム (2023/09/07開始)
腫瘍組織検体と血液検体の両方を用いて検査を行います。
④FoundationOne Liquid CDx がんゲノムプロファイル
血液検体を用いて、血液中を循環している腫瘍組織由来のDNA(ctDNA: circulating tumor DNA)を解析する検査です。
⑤Guardant360 CDx (2023/09/07開始)
血液検体を用いて、血液中を循環している腫瘍組織由来のDNA(ctDNA: circulating tumor DNA)を解析する検査です。
癌種や病態、組織検体情報をもとに、適切と考えられる検査を提案します。状況に応じて新たに腫瘍組織の生検検査をご提案させて頂く場合もあります。
上記以外で、保険適応とならない患者様(例えばがん診断早期で抗がん剤治療開始前にがん遺伝子パネル検査を望まれる方など)にも提出可能な検査として、保険適応外の検査も実施・提供できるよう準備を進めております。
そのような場合にもご相談ください。
◆2021年1月~2021年12月 検査実績
がん種別 件数内訳(保険適用)
がん遺伝子パネル検査種別 件数内訳(保険適用)
◆当科への御紹介や御受診に際して
現在、がんゲノム検査は、がんゲノム医療に関する拠点病院や連携病院でのみ実施可能となっています。当院へ通院中の患者様だけでなく、他院での治療を継続しながら、当院でのがんゲノム検査を受けて頂くことが可能です。初診予約の取得方法については、下記ページを御覧下さい。
<過去に御紹介頂いた医療機関>
横浜栄共済病院,横浜南共済病院,済生会横浜市南部病院,けいゆう病院,小田原市立病院 など